2010年11月27日土曜日

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変奏曲形式の続き
ソナタ(sonata)形式の展開部なども音楽の形としては変奏曲(variation)に当るのですが、普通は1つの主題による変奏だけではなく、他のメロディーに基づく部分も含まれていますので変奏曲形式には当たりません。ここではひとつの楽章全体がひとつの主題の変奏曲になっているものだけを変奏曲形式と呼んでいます。ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」のように変奏曲だけでひとつの楽曲になっているものもたくさんあります。これらは変奏曲形式の楽曲と言えるでしょう。ドボルザークの交響曲第9番(新世界より)やシューベルトの交響曲第8番(ザ・グレート)などのように、すべての楽章であるひとつのメロディーの変奏が使われている楽曲もありますが、これらの楽章には他のメロディーも含まれていますので、ここでいう変奏曲形式ではありません。しかし、こうして全部の楽章に同じメロディーの異なる変奏曲が入っていると、そのことに気付かなくても曲全体を通じてなんとなく統一感が感じられるます。このように、クラシック音楽(classical music)では、いたるところで変奏曲が使われているのです。

変奏曲というものは、少し音楽を聴き慣れた人にとっては大いに面白みを感じるものですから、ひとつの主題を提示した後に、いろいろな工夫を凝らした変奏が続くものが、独立した曲として多く作曲されています。代表的なものとしてブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」がありますが、この他にも多くの名曲があります。googleで「変奏曲」を検索すると、大きい曲の1つの楽章になっているものも含めて、たくさんの曲名が出てきます。

2010年11月26日金曜日

classical music_listening music_variation_sonata_string quartet_audio system

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三部形式
起承転結の転の部分に当る楽章では、メヌエットまたはスケルツオと呼ばれる軽快な音楽が使われることが多いのですが、これらはほとんど三部形式と呼ばれるA-B-Aの形になっています。中間部と呼ばれるBは前後のAとは対照的な音楽になっていて、そのコントラストの付け方は作曲家の腕の見せ所になります。ここで意外な変化や絶妙の変化があると聴く人は喜びます。三部形式と言う単純な構造がそのコントラストを引き立てます。

変奏曲形式
変奏曲(variation)と言うのはある主題(メロディー)を提示した後、これを土台にして様々な方法で変化させて雰囲気を変えた曲をいくつか並べて提示する音楽です。作曲家が様々な工夫を凝らして、ひとつのメロディーに基づいてどれほど違う雰囲気を出せるかという腕前を見せびらかすものです。調性、リズム、テンポ、楽器編成の変化やポリフォニーなどを駆使して変奏すると一見全く別の音楽のように聴こえることもあるのですが、よく聴くと元のメロディーがちゃんと組み込まれているのです。聴く人は雰囲気の変化を楽しむだけでなく、その秘密を見破る楽しみもあるのです。変奏曲形式では少なくとも2、3種類大規模なものでは5種類以上の変奏が行なわれます。前に例として挙げた曲の中ではシューベルトの弦楽四重奏曲(死と乙女)の第2楽章、同じくピアノ五重奏曲(鱒)の第4楽章などがあります。

2010年11月25日木曜日

classical music_listening music_basic structure_sonata_audio equipment

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ひとつの楽章を構成するするための基本の構造として使われる三種類の形式のそれぞれについて大雑把に説明しましょう。
ソナタ形式(sonata form
基本形は、序奏(無いものも多い)→提示部→展開部→再現部→結尾部の順序で進行するものです(主題とは、主要なメロディーのことです)。
・序奏がある場合には、ゆっくりと重々しく始まるものが多く、主題とは全く異なって主題とのコントラストを狙ったものと、主題を部分的に導くものとがあります。
・提示部では第1主題→第2主題の基本形が提示されます。ここでは主題を印象付けるための工夫がされます。
・展開部では第1主題と第2主題の両方またはどちらか一方をいろいろな方法で装飾したり変形したり、リズムを変えたり楽器を代えたりした変形形態がいくつか続けて演奏されます。この展開の仕方でこの楽章の面白さの大部分が決まります。
・再現部では、第1主題と第2主題の両方またはどちらか一方が、原形に近い形で楽器を代えたりして元の形を思い出させるように演奏されます。
・結尾部ではそれまでの要素のどれかを選んでいろいろ加工して盛り上がったたり逆に静かになったりして楽章の最後を締めくくります。どの作曲者も印象的な終わり方にするために知恵を絞っています。

これがソナタ形式と呼ばれる構成の基本構造ですが、これの変形になっているものも多いです。例えば、第3主題がある、主題と主題の間、主題の提示と展開部の間、展開部と再現部の間などに経過句と呼ばれるつなぎの部分があるなど、楽しめる音楽にするためにいろいろな工夫がされます。その工夫を見抜くのもクラシック音楽を聴く楽しみのひとつです。

2010年11月24日水曜日

classical music_listening music_movements_string quartet_sonata form_variation

(38)
ここでクラシック音楽(classical music)の楽曲の構成(composition)とその構成要素の構造(structure)について簡単に説明しましょう。
クラシック音楽の代表的な構成は、
・交響曲(symphony)、弦楽四重奏曲(string quartet)、ピアノ五重奏曲などは4つの楽章を持つ、
・協奏曲(concerto)、ピアノ三重奏曲(piano trio)、ソナタ(sonata)などは3つの楽章(movements)を持つ
と言うのが標準的な形ですが、それぞれ例外もかなりあります。例えばベートーベン(beethoven)の後期の弦楽四重奏曲には5楽章(15番)、6楽章(13番)、7楽章(14番)のものがそれぞれ1曲ずつあります。ただし、2つの楽章が続けて演奏されるものが有ったりして、人によって数え方が違うこともあります。

4楽章で構成される楽曲では、4つの楽章は漢詩の「起、承、転、結」とほぼ対応するような順序で並んでいるものと、むしろ「起、転、承、結」と言った方がよい順序で並んでいるものがあります。前者の場合のテンポは急-緩-急-急となっているものが多く、後者の場合は急-急-緩-急となっているものが多いのですが、急とか緩といっても、それぞれにいろいろな速さがあって、その違いによって楽章間のコントラストの付き方が変わります。

それぞれの楽章の構造には主に次の3種類があります。
・ソナタ形式
・三部形式
・変奏曲形式
次に、これらの構造のそれぞれについて簡単に説明しましょう。

2010年11月21日日曜日

classical music_listening music_string quartet_chamber music_composer_Bartok_

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弦楽四重奏曲(string quartet)を中心にして室内楽(chamber music)について書いてきました。弦楽四重奏曲は他の室内楽と同様に、元々は、作曲家が自分の身内や友人と一緒に演奏して楽しむために、または作曲家(composer)の後援者が自分達で演奏するために依頼して作曲されたようですが、そのうちに楽譜を販売するために出版社の依頼で作曲されるようになり、さらにベートーベンのように作曲者が自分の人生の集大成を目的として、いわば自分自身のために作曲するようにもなりました。ベートーベン(1826年没)以後バルトーク(第1番、1908年)までの80年余りの間に約40人の作曲家が弦楽四重奏曲を作曲していますが、ベートーベンを意識した腕試しとして、ほんの1、2曲ほどしか作曲しなかった人が多いようです。例外はメンデルスゾーンの6曲とドボルザークの14曲だけでした。

しかし、バルトーク(Bartok)以後は、弦楽四重奏曲が持つ表現力の可能性が再認識されて、弦楽四重奏曲を数多く作曲する作曲家が続々と現れています。しかし、残念ながら、今のところバルトークを越える評価を受けるものは現れていません。先にも述べましたように、弦楽四重奏曲には、柔軟性、音質のさわやかさ、バランスの良さなど、室内楽として多くの長所がありますので、もっと多くの名曲が現れることを期待したいものです。

2010年11月18日木曜日

classical music_string quartet_chamber music_composer_audio system

(36)
スメタナとヤナーチェクも数は少ないですが、魅力的な弦楽四重奏曲を残しています。現代になってショスタコーヴィッチを初めとして10曲以上作曲した人が何人か現れています。私はショスタコーヴィッチの曲を放送で3曲だけ1回ずつ聴いたことがあるだけですが、やはり天才だなと思わせるところがありました。

そしてバルトーク(Bartok)です。バルトークには6曲の弦楽四重奏曲がありますが、これらは別格です。ベートーベンかバルトークかと言う程のものです。私は大学受験勉強中に深夜放送で弦楽四重奏曲第3番を聴いて初めてバルトークの名前を知ったのですが、これはちゃんと聴かなくてはと思いました。大学に入って家庭教師のバイト料を貯めるとすぐにレコード屋に行って、発売されたばかりのジュリアード弦楽四重奏団のレコードを全曲買いました。その時にはまだベートーベンの弦楽四重奏曲も全曲は聴いていませんでした。そしてまもなく、当時日本で発売されていた弦楽四重奏曲以外のバルトークのレコードも全部揃えました。といっても当時は全部で10枚足らずしか発売されていませんでしたが。

バルトークの弦楽四重奏曲では4番、5番、6番が特に人気があるようですが、他の4曲もすばらしいです。確かに4番が最も多彩ですが、透明感のある美しさと力強いリズム感を特徴とする1番、2番やコンパクトで内容の詰まった3番も、他に並ぶもののないすばらしい曲です。これらの曲の少なくとも一部は、人類の文化遺産としてベートーベンの弦楽四重奏曲と共に永久に残るのではないでしょうか。

シェーンベルク、ウエーベルン、ベルクも優れた弦楽四重奏曲を作曲していると言われていますが、いずれも数は少なく、また私は音源を持っていませんし、放送でも滅多に聴けませんのでよく把握していません。

2010年11月16日火曜日

classical music_chamber music_Beethoven_listening music

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ベートーベン(Beethoven)の後期の12番から16番までの5曲は、中期の弦楽四重奏曲群からさらに14年余り後の作曲ですが、いずれも思い通りの構想と表現で作曲されたベートーベンの最後の傑作群です。上で述べたベートーベンの特徴をすべて備えた上で、さらに高い境地で作曲されたものと考えられています。取っ付き難いという印象を持っている人も居られるようですが、どの曲にも始めて聴いたときから感動するような部分が必ずありますので、そこを手がかりにして何回か聴けば徐々に全体が味わえるはずです。一言で言えば極めて美しい音楽です。おそらく一生聴いても飽きないと思います。

ベートーベンにはこの他にピアノ三重奏曲、バイオリンソナタ、チェロソナタなどの名曲もあります。

ベートーベンの弦楽四重奏曲(string quartet)が、後世の作曲家達の挑戦を退けるような名作揃いなので、多くの作曲家は、2、3曲作ってみただけで諦めてしまったようですが、シューベルト(Schubert)とドボルザーク(Dvorák)だけはかなりの数の弦楽四重奏曲を作曲しています。

シューベルトの弦楽四重奏曲第13番(ロザムンデ)と14番(死と乙女)は十分聴くに値する名曲です。また、この他にシューベルトにはピアノ5重奏曲(鱒)およびピアノ3重奏曲第2番という名曲もあります。これらの曲では、歌曲の伴奏を聴いても分かる通り、シューベルト独特の実に簡潔でさわやかなピアノが生かされています。

ドボルザークには多くの室内楽があります、弦楽四重奏曲では一般に「アメリカ」と呼ばれている曲が比較的聴く機会が多いです。独特の雰囲気を持つすばらしい曲です。ピアノ五重奏曲「ドゥムキー」も割合よく聴かれています。この他にも名曲と言われる室内楽曲がいくつかありますが、あまり聴く機会はありません。

ドビュッシーとラベルには1曲ずつ弦楽四重奏曲がありますが、どちらも独特の雰囲気があってなかなか良い曲だと思います。

2010年11月14日日曜日

classical music_listening music_string quartet_Haydn_Beethoven

(34)
そして19世紀の初めには、ハイドン(Haydn)に代わってベートーベンがこの分野を手がけ始めます。そしてまず作品18と呼ばれる6曲(第1番~第6番)から成る弦楽四重奏曲群を作曲しました。これらの中にはハイドン、モーツアルトの作風の影響が残っているものもあると言われていますが、それでもベートーベン(Beethoven)独特の美しさや味わい(特にポリフォニー、ダイナミズムの変化の活用など)も現れ始めており、いずれも緊張感のある良い音楽になっていますので、十分聴くに値します。

中期のベートーベンは5曲(7番~11番)の弦楽四重奏曲(string quartet)を残していますが、これらはもうハイドン、モーツアルトを完全に超えて、誰の追随も許さないほどの独自性があり、しかも1曲ごとにかなり性格の異なる名曲揃いです。この時期の曲に共通する特徴を大雑把に述べると次のようなものです。これらの曲の緩い楽章では、たとえば弦楽四重奏曲第7番(ラズモフスキー1番)第3楽章、8番(ラズモフスキー2番)第2楽章、第9番(ラズモフスキー3番)第2楽章、第10番(ハープ)第2楽章、第11番第2楽章に見られるように、聴くものに語りかけるようでもあり、あるいは問いかけるようでもある、叙情的あるいは不思議な美しさを持つ味わい深いメロディーが現れます。一方速い楽章では、切迫したムードと明るいムードのコントラストやリズム、テンポ、ダイナミズムの迅速な変化などが現れます。これらの曲は後期の曲の独自性にはかなわないという面もありますが、後期の曲にはない魅力もありますので、盛んに演奏され聴かれています。

2010年11月13日土曜日

classical music_string quartet_chamber music_Haydn_Mozart_listening music

(33)
そういうわけで、弦楽四重奏(string quartet)は室内楽(chamber music)の王座を占めており、多くの作曲家がこの分野に挑戦しています。

18世紀の中頃から末にかけてハイドンが約60曲以上の弦楽四重奏曲を残しました。ハイドンは決して弦楽四重奏の創始者ではなかったと思いますが、この弦楽四重奏というジャンルを大いに発展させました。ハイドン以前の弦楽四重奏曲については、私は全く何も知りません。私はかなり前にハイドンの弦楽四重奏曲の中のポピュラーなもの10曲ほどをよく聴きました。全体的にさわやかな曲ですが、随所にたいへん深い味わいがあります。ハイドンの作曲した約80曲のうちどれほどが現在も演奏されているのか、録音されて公開されているのかと言うことも私は調べていません。

モーツアルトはハイドンが盛んに弦楽四重奏曲を作曲していた頃に作曲を始めたこともあって、その作曲法を自分もマスターしたいと考えてかなりの数の弦楽四重奏曲を作曲しました。その内の6曲は、ハイドンに献呈してその感想を訊いたそうです。またハイドン(Haydn)はモーツアルト(Mozart)の才能を大いに認めていたようです。それらの曲もなかなか良い曲で、モーツアルト独特の味わいもあります。しかし、曲ごとに独特の特徴があるという意味ではハイドンを超えたとは言えないかも知れません。なお、モーツアルトはバイオリン2、ビオラ2、チェロという弦楽5重奏曲もいくつか作曲しています。そのうちの2曲は私もレコードを持っていましたが、なかなか良い曲でした。

2010年11月12日金曜日

classical music_chamber music_conductor_string quartet_listening music

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室内楽について
本ブログの対象となっている音楽は、主に交響曲、交響詩、協奏曲などと呼ばれる本格的なクラシック音楽(classical music)が中心ですが、その中に一般に「室内楽(chamber music)」と呼ばれるものがあります。これについては馴染みのない方も居られると思いますので、少し詳しく説明しましょう。

室内楽の確立された定義は無いようです。40人ものメンバーが居て指揮者も置いているような楽団でも室内管弦楽団とか室内合奏団という名称が付いていたりしますが、ここでは2人から10人程度の奏者が指揮者(conductor)なしで演奏する音楽を室内楽と考えています。元々はごく小さな場所で身内や友人同士で演奏されていたことから「室内楽」という名が付いたと言われていますが、現在ではかなり大きなホールで公開演奏されることが多いです。室内楽は、もっと大きな編成で行なわれる演奏とは違って、個々の楽器の音が際立って聴き取れることと楽器編成の違いによる音色の違いがはっきりして興味深ことが特徴でなかなか魅力があります。通常は指揮者なしで演奏されますので、奏者は合奏技術について特別の訓練を受けるのだそうです。

室内楽の楽器編成は様々です。二重奏から10人程度の合奏までを含み、楽器の組合せもいろいろありますが、最も楽曲が多いのは弦楽四重奏(string quartet)です。これはバイオリン2人、ビオラ、チェロの四人で演奏されるものです。これは楽器編成の種類別の曲数で見るとクラシック音楽の中でも管弦楽に次いで大きな分野となっています。

四つの弦楽器の組合せは、基本的にはバイオリンが高音、ビオラが中音、チェロが低音を受け持つ形をとり、メロディーの受け渡しをスムースにするためにバイオリンが2つあることなど、作曲上都合のよい組合せであることはもちろんですが、この編成の魅力は、何と言っても、同じ弦楽器でも楽器によって音色が異なることに加えて、各楽器の奏法によってもかなりの幅で音色や表情が変わること、特に弦楽器の音色が独走の時と合奏の時でかなり異なることなどを利用して、同じ弦楽器の組合せであっても幅広い音色の変化を出せること、ピチカート奏法を利用してリズム楽器としても使えることなど表現力の幅が広いことと共に、それでも弦楽器同士であるが故に各楽器の音は調和しやすいことでしょう。

弦楽四重奏の外に、数はそれほど多くはありませんが、弦楽5重奏曲、6重奏曲、弦楽器の組合せにピアノや管楽器が1つだけ加わった5重奏曲や四重奏曲、三重奏曲などにも名曲があります。

2010年11月11日木曜日

classical music_composer_listening music_entertainment_audio system

(31)
これらの作曲家(composer)にどんな作品があるかを知るには、インターネットのグーグルで作曲者名(カタカナ)を検索するとWikipediaというサイトが出てきます。全作品名が網羅されていますが、曲の解説はありません。ごく一部の曲は、作曲者名と曲名で検索すると解説が出てきます。良い解説を読むと何処に意識を置いて聞けば良いかが分かります。解説の中には曲または作曲者に関するつまらないエピソードばかり紹介して、その曲の何処に面白さがあるかということは書いないというものもあります。そういう余計なエピソードを読むと、つまらない先入観を植え付けられて、音楽を自分自身の心で感じることができなくなる恐れもあります。

これがこのブログの核心ですから何度も書きますが、クラシック音楽(classical music)を楽しんで聴くためには、積極的に注意力を働かせなければなりません。注意力を働かせていなければならないとしたら、それでは楽しむことにならないとお考えかもしれませんが、実は多くのことは注意力を働かせなければ本当には楽しめないのです。例えば展覧会で絵画を見るときには、構図、色彩、人物の表情などに注意を払わずに絵から何かを感じ取ることはできないでしょう。卓球をする時に、相手の構えに注意を払わなかったら帰って来る球は受けられません。それではスポーツどころか遊びにもなりません。

音楽を鑑賞する(listening music)ときの注意の払い方は、スポーツを観戦するときとほとんど同じです。スポーツ観戦では、ほんの一瞬でも注意力が働いていなければ、重要なシーンを見逃すかも知れません。後で、「今どうなったの」と人に訊いても、その一瞬を見ていた人が感じたスリルと感動が伝わるような説明はしてもらえません。例えばサッカーの場合は、22人のプレーヤーの配置を横目で見ながら一人ひとりの動きも追わなければなりません。常に注意力を働かせていないと重要なシーンを見落とすのです。気が付いたらボールはゴールに入った後で、あなたはゴールを決めたプレーヤーがバンザイしながら走り回るところだけを見るというような情けないことになります。それではスポーツ観戦は楽しめないのです。

遊びや娯楽というものは、うっかりしていると何がどうなったのか分からなくなったり、相手にやられてしまったりするので、何時も緊張していなければならないものほど面白いのです。上手な漫才を聴いているときは誰でもギャグを1つも聞き逃さないように緊張しているはずです。音楽もそうです。注意力を働かせていないと刻々と起こる変化について行けないような音楽が特に面白いのです。そういう音楽を注意して聴いていれば時間と共に次々と現れる美しいメロディーや音色あるいはリズムの変化などが味わえます。だから「音楽は時間の芸術である」とも言われます。

2010年11月9日火曜日

classical music_Chopin_Bruckner_Mahler_listening music_audio system

(30)
 ロマン派といわれるグループではショパン(Chopin)、シューマン(Schumann)、フランク(Franck)、ベルリオーズ(Berlioz)、などが抜けていますが、これらの作曲家は元々このブログで考えているような本格的作品の数がそれほど多くありませんが、選択肢が少ないお陰で、個々の作品はFM放送などで割合頻繁に聞くことができます。例えばショパンを取り上げた番組では、いくつかの小品の後、大抵はピアノ協奏曲1番か2番のどちらかが放送されます。ベルリオーズでは「幻想交響曲」、「イタリアのハロルド」、「レクイエム」ぐらいです。シューマンとフランクにはもう少し多くの曲があります。

ブルックナー(Bruckner)とマーラー(Mahler)は現在オーケストラのコンサートで人気の高いロマン派の作曲家ですが、彼らの作品はやたらと長く、普通の曲は30分前後から例外的に長いものでも60分以下ですが、彼らの作品は80分程度も掛かるものが多いです。音楽的内容の密度はそれほど高くはありませんが、メロディー、音色などに個性が感じられますので、コンサートでのんびり聴くのには好いと思います。よほど時間の余裕があるときでなければ、日常的に楽しむのには適していないと思いますのでここでは曲名を挙げていません。

フランス近代の作曲家ではサン・サーンス(Saint-saëns)、ドビュッシー(Debussy)、ラベル(Ravel
ロシア近代の作曲家ではショスタコビッチ(Schostakovitch)、プロコフィエフ(Prokovief)、ストラビンスキー(Stravinsky)、などにも魅力的な作品があります。

本によっては他の20世紀の作曲家およびその作品についても、かなり詳しく紹介されているものがありますが、中でも忘れてはならない作曲家として、多くの作品が名曲とされているバルトーク(Bartók)を挙げておきます。バルトークはベートーベン以後の作曲家の中で、私が最も強く感動を覚える音楽を創った人です。

2010年11月8日月曜日

classical music_music book_listening music_Bach_Mozart_Beethoven

(29)
樂曲について
先に(15)、(16)、(17)で紹介した曲は、すべて先に述べたような噛めば噛むほど味のある音楽(classical music)ですから参考にして下さい。しかし、これらはほんの一部分です。例えばベートーベンには名曲と言われているものだけでも70曲以上はあるでしょう。それらの曲については他の参考書(music book)をご覧下さい。

なお、曲名についている(運命)などの「愛称」は、曲の実際の内容とは全く無関係なものまたはごく断片的な特徴を表しているに過ぎないものが多いです。それでも曲名を挙げる時に便利なので使われているのです。

バロック時代の作曲家としてはバッハ(Bach)だけを挙げましたが、他にもビバルディ(Vivaldi)、コレルリ(Corelli)、テレマン(Telemann)、ヘンデル(Händel)など多くの作曲家が多くの名曲を残しています。それらの曲は規模が比較的小さく10分~15分程度で、構造も比較的簡単で分かりやすいものが多いので、聴く練習には適当でしょう。

ハイドン(Hydn)、モーツアルト(Mozart)、ベートーベン(Beethoven)が活躍した時代は古典派音楽の時代と呼ばれています。もちろん、この時代には他にも多くの作曲家が活躍していたようです。それらの人達の音楽も時々放送されることがありますが、この3人よりも優先して聴くほどのものはなさそうです。これら3人には名曲の数が多いので、とてもそれ以外の人達の音楽まで聴いている暇はないと言うところでしょうか。

古典派の時代の最後に現れてわずか31歳で亡くなったシューベルト(Schubert)は、その短い生涯の内に数々の傑作と言われる曲を残しています。シューベルトの曲は、深みのある美しさと優しさに満ちています。中でも「未完成」と呼ばれている「交響曲第7番」は私が最も好きな曲です。この曲は2楽章で終わっていますので「未完成」と呼ばれていますが、内容的には完璧に完成しています。後に付け加えるべきものがなかったので2楽章で終わりにしたのではないでしょうか。

2010年11月7日日曜日

classical music_composer_message from composer_dialogue with composer_listening music

(28)
こういう天才的な作曲家(composer)が創った音楽からは、いろいろなメッセージが飛び込んできます。それを聴いてご自分の心がどのように動くのか、その反応を感じてください。それが作曲者からのメッセージ(message from composer)に対するあなたの答えになるのです。こうして作曲者との対話(dialogue with composer)が成立するのです。これは感じるだけでよいのです。

音楽から受けた感動を言葉で表して、それを他の人にも伝えたいと思われるかもしれませんが、しかし、それは多分無理だと思います。あなたが音楽から受ける心の動きのほとんどは、ふだん話している時に使われる表現では表せないようなものでしょう。

例えば、「なんとも言えない不思議な柔らかい響きの音がします」などと表現しても、他の言葉をもっとたくさん並べても、その音の実際の響きがどんなものなのか相手には全く伝わりません。その音はふだん使っていない脳の部分で感じたものですから、それを表す適当な言葉や表現は、日常の会話の中には無いのだと思われます。しかし、聴いて感動した記憶はあなたの心に残ります。結局、音楽は聴いた人にしか分からない、と言い切れるでしょう。

本ブログの範囲
クラシック音楽(classical music)の中には、2,3分から長くても10分程度の短い名曲もたくさんあります。そういう「小品」と言われるものは、構造も簡単で内容を把握しやすいものが多いので、特に聴き方を考える必要はありません。こういう小品を何曲かまとめた「組曲」と言われるものがありますが、これらも個々の小品はそれぞれ独立した曲になっていますので聴き方は小品と同じです。本ブログでは、主に、短くても10分~15分以上掛かり、内容が豊富で、構造もある程度以上に大きい曲、すなわち一般に交響曲、交響詩、協奏曲、ソナタ、室内楽などと呼ばれるものを中心に考えています。

2010年11月6日土曜日

classical music_composer_master-piece_audio system_karaoke system

(27)
このブログで提案した2つの条件「お一人様状態で、大きい音で聴く」、「少しだけ作曲者に挑戦するチャレンジ精神を持って(すなわち意識を集中して)聴く」を忘れなければ、名曲と言われている曲は絶対に裏切りません。名曲(master -piece)という呼び名はだてには付いていません。長年の間、高く評価され続けている名曲は必ず人の心に沁みるものを持っているのです。

この「お一人様状態で聴く」ということに抵抗を感じる方も居られるかもしれません。何か「孤独主義者」になれと言われているように感じられるかもしれませんが、そうではありません。「お一人様状態で聴く」ということは、作曲者が創った音楽を聴いてあなたの心が反応するために必要な条件なのです。お一人様状態で聴けば、音楽を通じて作曲者と二人で対話することができるるのです。曲が終わるまで黙っていても気詰まりでない人は別として、他の人と一緒ではだめです。こうして作曲者(composer)と二人きりで対話をしていると、多分あなたは孤独に強い人になるでしょう。

しかし、お分かりだとは思いますが、孤独を楽しめる強い人であるということと、実際に孤独な人であるということとは別のことです。孤独を楽しめると言うことは、すなわち自立しているということです。日頃クラシック音楽(classical music)を聴いている人は、間違いなくしっかり自立している人です。私の経験ではまず例外はありません。クラシック音楽の効用で自立できるのか、自立する素質のある人がクラシック音楽を聴くのか、どちらか分かりませんが、おそらく両方でしょう。

自立している人は、強い心を持っているだけでなく、他の人にも自信を持って接することができ、しかも思いやりの心を持つ余裕もある人です。クラシック音楽を聴いて作曲者の心を感じ取ろうとする意識を持つことによってそういう心が育っていくのだと思います。これは私の我田引水ではないと思います。多くのクラシック音楽を聴く人達と接することによって私が得た結論です。

もちろんクラシック音楽を聴かなくても自立している人も大勢居られることは事実ですが、クラシック音楽を聴いて作曲者の心を感じ取ることが自立を大いに助けることも事実だと思います。また、そういう音楽を創った人だからこそ天才と言われるのでしょう。

2010年11月5日金曜日

classical music_melody_tone_rhythm_composer_songs_karaoke

(26)
歌(songs)はもちろんメロディーも大切ですが、歌詞を聴けば何を言おうとしているかがすぐに分かりますので、勝手な解釈はほとんどできません。クラシック音楽(classical music)には歌詞という説明がありませんので、歌詞を聴く必要はありません。その代わりに音楽に意識を集中して音楽からのメッセージをメロディー(melody)、音色(tone)、リズム(rhythm)などから感じ取るのです。説明が無い代わりに自分の心の状態に合わせて好きなように感じとることができるという幅の広さがあります。したがって音楽から感じるものは聴く人によってすべて違います。味わい深い音楽ほどその違いの幅は広くなるのです。作曲者(composer)と自分だけの対話ですから、他の人には分かりません。

ところでお尋ねします。あなたはなぜ音楽を聴いているのですか?と訊ねられたら、ただなんとなく、一人で居ると退屈で他にすることがないから、静かだと淋しいから、むしゃくしゃして腹立たしい気分をまぎらすため、など、答えはいろいろあるでしょう。もちろん大部分の人の答えは、この曲が好きだから、ということでしょう。

では、今聴いている音楽に満足していますか?と訊ねられたら、満足しているけれど、違う種類の音楽も聴いてみたい、もっといい音楽があれば聴いてみたいという人も少なくないでしょう。そういう人の中には、歌もいいけれど、もっといい音楽もありますよ、などと言われてクラシック音楽を聴いてみたけれども、よく分からなかった、良いと思わなかったという人も多いでしょう。だから「クラシック音楽の聴き方」などという本がたくさん出ているのでしょう。でも、この種の本を読んでも多分クラシック音楽が楽しめるようにはならないことは先に述べた通りです。

2010年11月4日木曜日

listening music_classical music_refresh_song_karaoke_sound equipment

(25)
私も外へ出た時にはハンバーガーか立ち食いそばで済ますことが結構あります。お腹が空いていれば結構美味しいです。しかし普通の人は、何日かに一回ぐらいはもう少しまともなものを食べたいと思うでしょう。フランス料理や中華料理のフルコースとまでは行かなくても、せめて幕の内弁当とか、お惣菜料理を2、3品とサラダと安いワインとかを買って帰るぐらいのことはしたいですよね。これなら栄養のバランスも取れて(balanced nutrition)元気が回復(refresh)します。食事でいえば、せめてこの程度の栄養のバランスが取れていて、味にも満足できる食事に当るのものが、音楽ではクラシック音楽(classical music)だと思います。

もちろん、お惣菜とワインを買い込んで食事をすれば、お皿もグラスも出さなければいけません。食事の後は片付けもゴミの始末もしなければなりません。クラシック音楽を聴く時はお皿も後片付けもいりませんが、音楽に向き合うためのちょっとした心構えは必要です。それがないと結局何も聴こえてきません。もちろん安眠剤として聴く時は何の準備も要りません。あなたは、お皿を出したり片付けたりするのは嫌だから一生ファーストフードを食べ続けますか。

別の観点からの例をあげましょう。たまに奮発して、ステーキを食べるとしましょう。多くの人は100gで1000円以上もする肉を買って来るでしょう。余裕のある人は一切れ3000円以上でも出すでしょう。霜降りで柔らかい肉です。私の場合は、せいぜい100gで300円、高くても500円程度の肉で十分です。霜降りの肉よりも少し硬いですが、しっかり噛めば霜降りの油の味よりも味の濃い肉汁がじわっと滲み出てくるやつが大好きなのです。歯がダメになっている人には無理かも知れません。しかし私は、こういう肉のように、しっかり噛んで味わう深い味のある音楽が聴きたい(listening music)という人もかなり居られると思っています。

2010年11月3日水曜日

classical music_masterpiece_good performance_sound equipment_artists_listener

(24)
クラシック音楽(classical music)は人類が創り出したあらゆる芸術の中でも最高度に発達したものと言っても過言ではないでしょう。過去に天才たちが創り出して蓄積された膨大な数の名曲(masterpiece)が世界的な規模で普及しており、作曲者、演奏者のハイレベルでの競争が世界共通の舞台で行なわれおり、しかも誰でも優れた演奏(good performance)の良質のコピー(copy)を安価で簡単に手に入れることができて、比較的安価な音響装置(sound equipment)ででも十分に楽しめる音質で聴くことができるのですから。これほど芸術家(artists)と鑑賞者(listener)の間が、世界的規模で密接に接続されている芸術は他にはまずないでしょう。この優れた芸術の整備された鑑賞ルートが、あまり多くの人に利用されていないと言うことには、どこかに何か重大な問題があるということになりそうですが。

しかし、先に述べました通り私の考えでは、それは音楽の種類によって多少聴き方が違う(difference in how to listen)ということによる問題に過ぎないと思われます。しかも、「少しチャレンジ精神を持つ」という簡単な意識の切り替えで解決する問題なので、実は決して重大な問題ではないのです。そのちょっとした違いに気付いて頂くことで、この問題は簡単に解消するというのが本ブログのもう1つのテーマなのです。

音楽にも挙げればキリがないぼどいろいろな種類があります。その中で最も名曲が豊富に揃っているのがクラシック音楽です。突然話が変わりますが、食事にもいろいろな種類がありますね。極端な例を挙げれば、一日中スナック菓子をかじるだけで済ましている人達がいます。もっと多いのはほとんどファーストフード、すなわちハンバーガー、立ち食いそば、屋台のたこ焼きや焼きそばのようなものばかり食べて暮らしている人達です。夜には居酒屋で一皿300円程度のつまみでビールを飲んで、仕上げにラーメンを食べて終わりという人も多いでしょう。お惣菜のサラダでも買って帰る人は上出来の方です。ポピュラー音楽は、料理でいえばこういうものでしょう。それでも生き延びることはできます。体調は万全ではないかもしれませんが。

2010年11月2日火曜日

classical music_challenge_how to listen_books_episode_sound equipment

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もちろん、環境に恵まれて、ごく若いうちからクラシック音楽(classcal music)を聴く習慣が付いている人は、無意識のうちに聴くときの要領を身に付けておられると思いますが、大きくなってすでに他のいろいろな音楽を聴いている人が、いざクラシック音楽にも挑戦(challenge)してみようと思われたときには、あまりスムーズに入って行けないことが多いようです。そういうときに「クラシック音楽の聴き方(how to listen)」などと称して出版されている本(books)を読んでみようと思われる方も多いと思います。しかし、実際にはどの本にも、曲の紹介や作曲家と曲にまつわるエピソード(episode)などの、音楽の聴き方と直接には関係のないことばかりが書かれているのです。私がここに書きましたような、クラシック音楽を聴く楽しさを本当に味わうことができるための聴き方や意識の持ち方について書かれている本は、これまでに見たことがありません。

おそらく、そういう本の著者や出版社は、そんなことを書いたら読者に「クラシック音楽とは面倒なものだ」と思われて逆効果であるだけでなく、本も売れなくなると思っておられるのでしょう。要するに読者は、常にはぐらかされているというか、厳しく言えば舐められているのです。肝心の聴き方のことは書かれておらず、音楽を聴くためにはほとんど役に立たないいろいろな雑学が書かれていて、読めばそれでおしまいと言うような本ばかりを買わされているのです。それらはそれらで、教養書としての価値はあるとしても、こういう本を読んでクラシック音楽の聴き方が分かったという人はまず居られないでしょう。その結果、クラシック音楽の愛好者はちっとも増えないのです。

2010年11月1日月曜日

classical music_relief_refreshment_how to listen_key points_callenging spirit

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とにかく、寝付きの悪い方にはクラシック音楽(classical music)を安眠剤として利用されることをお勧めします。ただし、この場合はあまり音を大きくしない方がよいようです。その方が意識が音楽に集中しますので、入眠を妨げる雑念からは開放(relief)されやすいと思われますし、音が大きいとせっかく眠っていても音楽が終わった時に気が付いて目覚めますから。

私は、会社を引退した後、今は翻訳の仕事をしています。つまり一日中言葉と戦っているようなものです。それで、音楽のリフレッシュ(refreshment)効果を大いに活用しています。もちろん疲れがひどい時は安眠剤になってしまいます。音楽が最後まで聴こえるか寝てしまうかで疲労の程度が分かります。

話がちょっと横道にそれましたが、元に戻します。聞き方(how to listen)のポイント(key points)とか、意識を働かせろとか、チャレンジ精神(challenging spirit)を持てとか、なんだか面倒臭そうなことを言って、これらが音楽を聴く時のコツだと書きましたので、そこまでしてまで聴きたくないと思われたかも知れませんね。しかしこれらは単に音楽の聴き方の習慣の違い、すなわち馴れの問題で、決して難しくはないのです。私は歌謡曲を聴く時とクラシック音楽を聴くときで意識を切り替えたことはありません。曲が鳴り始めた瞬間に自動的に切り替わるからです。

テレビやラジオでよくクラシック音楽をポピュラー音楽風に編曲したものがコマーシャルやドラマで使われています。それはそれでいいのですが、そういったものでもすぐにオリジナルの音ではないことに気が付きます。ポピュラーな音楽とクラシック音楽とではそれほどまでに音そのものが違うのです。歌の伴奏や視聴者の注意を引くためのアピールの強い編曲などにはそれなりの意図や役割があるでしょう。クラシック音楽は音そのものが主役ですから、美しい音でも刺激的な音でも聴くに値する音でなければならないのです。クラシック音楽を聴き始めれば、すぐに音色(quality of sound)の違いに気付かれるでしょう。